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配置販売業の今昔

300年以上の歴史のある「置き薬」。なぜこの「置き薬」はこんなにも長く利用され続けてきたのでしょうか。それは「先用後利」の利便性ではなく、 ひとえに「売薬さん」の人間力によるものなのです。

飛行機も自動車もない時代、売薬さんは自分の足で日本各地のお客さまのもとへ訪ねて行きました。そうして届けられる売薬さんの薬は人々にとても珍重されました。それだけではなく、売薬さんは他の地方の文化や事件などの情報を伝えたりもしました。売薬さんは病気に悩むお客さまの相談に適切に対応するための勉強はもちろん、それ以外の勉強も日々欠かしませんでした。ですから売薬さんはみな話題は豊富で、話には説得力があり、しかも相手の話を聞くのも大変上手かったのです。

そんな売薬さんが最も大切にしたことは「礼儀作法」。 お客さまの生活の場にお邪魔させていただくということを忘れず、常に礼を尽くし、健康や薬のアドバイスはもちろん、その他の話題も役立つものばかりの売薬さんは人々の信頼と尊敬を得ていました。そうやって少しずつ築き上げたお得意先一軒一軒との関係は深く、昔はお客さまに頼まれて縁談をまとめ、仲人をしたりすることも多かったそうです。その売薬さんが届けてくれる薬だからこそ人々は信頼し、決して粗末にすることはなかったのです。

今では売薬さんは配置員とよばれるようになり、情報も薬も、いつでも誰でも手に入れることができる世の中となりました。しかし最近では選択肢が多すぎて、自分にとって何が必要なのかの判断も難しくなってしまうほど情報が氾濫しています。だからこそ毎回のご訪問でお客さまのお話しをじっくり聞き、そのお客さまに合ったものを適切にアドバイスのできる配置員の役割りが重要なものとして再認識されています。時代とともに少しずつ姿を変えてきた置き薬ですが、そのシステムの根幹となる人間関係は今も昔も同じです。お客さまに商品を気に入っていただくためには、まず自分自身を信頼していただくことが最も重要なのです。

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